2013年3月2日土曜日

エグゾーストキャノンMk.11 ピストンヘッド等の制作

こんにちは、yasuです。
今回は現在作成中の新型ピストンについて書いていきます。

この装置の制作を経験したことのある方ならお分かりでしょうが、従来のピストンは、初期はまな板を円形に切り出したもの、あるいはフロアポンプのピストンを流用したもの、そして比較的新しいものとして、円形のゴム板を挟んだもの等がありました。
これがまな板のみのそれですね。Mk.3のピストンの写真です。
ボール盤に固定してヤスリで削りまくった思い出があります。
そしてコチラはMk.7のピストンです。ワッシャとゴム版とサークルカッターさえあれば作れるので、制作がお手軽になり、シリンダーとの密着をナットの締め具合で調整できるというメリットがあります。最近の主流はこれでした。

さて、従来のキャノンであればこれらのピストンでもなんら問題はなかったのですが、今回製作しているMk.11は、セミオートの機構を搭載しているのが最大の進化点であり、従来の物に加えて、連射性能を高める必要があります。
それを向上させるにはまずピストンの見直しが不可欠です。
このためにピストンに必要な要素は、ピストンとシリンダー間の摩擦の低減、そしてピストンを介したエアーの流れの増量、この2つです。

この二点に関しては正直従来の物はひどかったと言わざるを得ません。
なので今回はこれらを解決するにあたって、電動エアガンのピストンヘッドを参考に設計をしました。
電動エアガン界隈では「ハイサイクルカスタム」と呼ばれる、連射速度を高めるカスタムがあり、そこで用いられるピストンの形状は今回必要とされる要素をちょうど満たしているのです。
エアガン用のそれはこんなヤツです。
まずピストンそれ自体はエンプラの一種であるPOMで作られており、その自己潤滑性により、金属との摩擦はごくわずかに抑えられています。シールにはOリングが用いられおり、写真から分かる通り、ピストン表面に穴が複数開けられています。これがこのピストンの最大の特徴です。

このピストンの断面図と動作原理を解説してみます。
右側の円盤に開いている穴が、写真のピストンヘッドに開いている穴と対応しています。

このシリンダに右側から高圧のエアーを供給してみます。
するとこのようにOリングが圧力により変形してシリンダ内面に密着し、エアーはもれずピストンとして作用することがわかります。
この点において、従来のピストンは意図的にここをエアーがわずかに通れるように設計していたので若干の損失があったものと思われます。

つぎに左側から高圧のエアーを供給した時がこちらです。
このように穴が開いている事により、エアーはOリングに圧力をかけることなく、向こう側へ流れていきます。このためこの向きにはピストンとして作用すること無く、エアーを効率的に右側へ供給することができます。
この動作は、キャノンのエアチャンバーへピストンを乗り越えてエアーを供給する動作に相当します。

と、書き連ねてみましたが、わかる方にはわかると思いますが、これは全くもって「逆止め弁」の原理です。別にエアガンのそれに特有の機構とか言う訳でもありません。

では、製作工程です。

モノタロウで購入したPOM丸棒を旋盤で加工していきます。
所詮樹脂なので、突切りも怖くありません。さくさく加工出来ます。

中心にM6のボルトを通すための穴を開け、ねじ切りをしておきます。

割り出し機を使って穴を開ける位置を決めます。今回は八ヶ所開けました。
適当でもいいのですが、せっかく使えるので…

穴を開けます。さくさくです。

パーツが完成しました。

組み上げてみるとまさしくエアガンのそれをそのまま大きくしたような見た目です。

また今回のピストンは実は二代目であり、最初の試作ピストンがあるのですが、それはなぜか耐衝撃性に難のあるベークライトで試作したものでした。
それを最初の動作試験時に使っていたのですが、案の定割れてしまいました。
なので今回は万全をきすために、ピストンのストッパーのようなものを取り付けます。
取り付けるとこのようになります。パーツ自体はちょうど大学のリサイクルセンターに良い形状の部品があったため、それをちょっと加工した形になっています。


更に今回、銃口部をシールするピストンも新たに作り直しました。
以前のものはこれです。
しかし、三点保持のためのパーツが不調で、シリンダに対し、ピストンのセンターがずれたまま射撃を行なってしまったため、ピストンが壊れてしまいました。
なので新たにPOMでつくりなおしました。
三点保持パーツもPOMで作りなおしました。ここでの摩擦の少なさは素晴らしく、前回のものよりもだいぶ損失が減っていると思われます。

先ほどのピストンヘッドと、シール部のピストンを組み合わせたのがこれです。
今までのピストンよりもはるかに高性能で、かつ壊れにくいように仕上がっています。
実射実験が楽しみですが、現状まだそれができるためのパーツが揃っていないため、まだまだ先の事になりそうです…

それでは今回はこのへんで。

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