2014年1月13日月曜日

コミケ、ア理科イベント、キャノンMk.13

みなさんこんばんは、yasuです。
遅れましたがあけましておめでとうございます。

ちょっと間がかなり開いてしまったのでまずはちょっとした近況からご報告です。

コミックマーケット85

去年の冬コミに「うずまのよどみ」名義でサークル出店をしてきました。
頒布物は例のごとく心太さん原作の京都秘封ランドスケープの巡礼本、
「京都秘封ランドスケープ巡礼録」です。

今回はVol.2として嵐山に焦点をあててみました。
内容はVol.1と同じくランドスケープと同じ構図の写真、そしてその地の見どころや東方的小ネタを纏め、サークルの人々(自分ともう一人)で撮影した写真で構成されています。

ランドスケープポイント紹介ページや
 それにかぎらず周辺情報のコラムも充実。

前回の例大祭では印刷品質が悪く、意図した色味が得られなかったため今回は印刷所を変更。結果期待通りの色味が得られ、満足の行く物が出来ました。
既刊であるVol.1を100部、新刊Vol.2を150部持っていったのですが、東方オンリーイベントでもないにもかかわらずVol.1は完売、Vol.2も残り数冊を残すまで売り切ることが出来ました。当日購入してくださった方は本当にありがとうございました!

アリエナイ理科イベント

12/20に東京阿佐ヶ谷ロフトにてアリエナイ理科の教科書執筆陣+αによるトークショーが開催されまして、それにメインゲストとして参加してきました。

当日はキャノンMk.11とウェアラブルエアタンクを装備し登壇、壇上で無差別発砲をかますという極めてカオスな登場をキメました。
ブログでは書けないようなアレな話が飛び交うまさにアングラ(実際ライブハウスは地下)な内容で久々に全力でキャノンについて話した気がします。

当日の内容に関してはゲームラボさんが記事にまとめてくださっているのでそちらを参考に…

また当日の目玉としてエグゾーストキャノンMk.7をベースに開発した初の量産機、
Mk.7 Type Mass-Production
を3機限定で販売しました。



量産機と表記してありますが、見た目、そして威力ともに一切の妥協は有りません。シール部にはすべてOリングを使用し、すべて金属削り出しの極めて完成度の高いものになっています。
そして量産機という表記、別にNCを導入したとかそういうわけではなく、要は僕が死ぬ気に成って短期間でたくさん作っただけの話です…(もうあれはやりたくない…

当日は物販が始まって開始5分で完売してしまいました。当日購入できなかった方は申し訳ありません…
また何かしらのイベントが有った際には制作しようと思っているのでその時はよろしくお願いします。

エグゾーストキャノンMk.13

ついにMk.13の設計、製作に着手しました。

設計コンセプト


Mk.13は過去Mk.12までのノウハウを集約し、汎用性、製作性そしてもちろん排気速度も過去最高を目指します。

Mk.11は2年間開発を続けバージョンアップを繰り返して部品や構造を何回も何回も改良を加えていったものなので、設計に一部無理があるところがありました。その辺りを一度ゼロから設計し直すことでゆとりのある部品配置や、高い製作性を実現します。

ノズルの設計


従来のMk.11とMk.13は設計の流れで大きく異なることがあります。それはノズルの設計です。
従来のエグゾーストキャノンではノズルの断面積は適当に雰囲気で決めていました。
しかし今回、圧縮性流体力学の知見を取り入れその部分の最適化を行いました。

Mk.11のノズル直径は30mm、そして今回のMk.13では35mmまで拡大されています。これは面積比で1.36倍にあたり、その分流量増大が見込めます。

ただここで大きければ大きいほど良いかというと、そういうわけにも行かないのです。

以下にノズル付近の流路の模式図を示します。

この図に示すように、単管式キャノンではエアタンクとノズルをシールするピストンによって◎型の流路が形成されます(右の流路)。
つまりノズルの断面積を大きくするとこの◎流路の断面積が小さくなってしまい、かえってそちらがボトルネックとなってしまうのです。

この断面積を最適化しようとした時、普通に考えればノズル断面積と◎の断面積が同じ値を取ればいいと思われますが、空気のような圧縮性流体ではそうも行かないのです。

圧縮性流体の場合のノズル断面積最適化


圧縮性流体の場合、チョークという現象のために、ノズルの断面積を最適化する際にちょっとした計算が必要になります。

チョークとは端折って書くと、

ノズル出口での圧力が、タンクの圧力の0.528倍で与えられる臨界圧力よりも低い時、そのノズルでの質量流量はタンクの圧力とノズルの断面積によってのみ決まり、ノズルでは流体は音速で流れ、またどれだけ出口の圧力を下げても流量が変化しない。

といった雰囲気の現象です(知識不足をごまかす

エグゾーストキャノンの場合、ノズルでは確実にチョークが発生しその質量流量はノズル断面積とタンク圧力によって決まります。

しかし、◎の流路では圧力差的にチョークが発生しないと考えられ、流量の計算式がノズル部分のそれとは異なり、亜音速噴流の場合の式を適応する必要があります。
亜音速噴流の場合は◎部前後の圧力、そして断面積によってその流量を計算します。

つまり、ノズル部と◎部それぞれでの質量流量を計算し、それらがだいたい同じ値になる時最大流量となるわけです。

フローチャートにすると以下です。

タンク圧力を仮定(0.9MPaぐらい)
ノズル断面積を仮定
◎部断面積を計算
◎部後流の圧力を仮定(0.5~0.8MPaぐらい?適当)
タンク圧力と後流の圧力、そして◎部断面積より、◎部での流量を計算
◎部後流の圧力とノズル断面積からノズルでの流量を計算
ノズルと◎部、それぞれに流量を比較し、後者と前者が等しくなる断面積をさがす。

と言った感じのことをしました。
この結果、製作性や部品の配置等々を考慮しノズルの直径は35mmと決定されたのです。
(と偉そうに書いてみましたが◎部後流の圧力が適当だったり、流路形状による抵抗等は考慮に入っていないので信頼性は不明です…

3Dモデル


圧縮性流体力学の知見が取り入れられたMk.13ですが、すでに設計が完了しています。

完成図は以下です。

外観はMk.11のグリップを外したものとほとんど同じですが、各所に性能向上のための設計が施されています。


部品は基本的にA2017の削りだしです。ノズル部分はこのように成っており、先端には1 1/4インチの雌ねじが挿入されています。この雌ねじはOリングで流体的にシールされており、今後の外部ノズル実験や、圧縮空気のソースとしての利用にも容易に対応できます。

AEV



またノズルの面積が増大したことにより、AEV部分の面積も大きくすることができます。今回は直径は32mmに設定しました。前回のMk.11ではここは24mmだったのでAEVでも大幅な開放速度の向上が見込めます。
また高速で大型のAEVピストンが後退してくるため、安全対策としてメッシュを装備することにしました。見た目が個人的に気に入っています。

このようにAEVとノズルいずれでもかなりの流量増大を図った設計となっております。
その相乗効果による排気速度の向上がどれほどのものなのかが非常に楽しみです。

製作


そしてMk.13、すでに設計どころか製作が始まっています。

前回のMk.7 Type Mからフライス+割出し台という最強の組み合わせを大いに活用しています。
従来では不可能だった等間隔に一列なパイプへの穴あけ加工が可能になりました。これはとても大きいです。
 パイプだけでなく、当然丸棒にも正確な穴あけ加工が可能です。
 加工が終了したもの。素晴らしい精度です。
 引っ張り式ピストンストッパーを取り付ける穴を加工。この穴の間隔と一対一で対応する部品をもう一つ作らなければならないため、写真のように穴あけ治具を製作しました。
ノズル部分を中ぐりバイトで拡張している様子です。35mmともなると卓上旋盤ではなかなか大変です。
そして現在ここまで加工が終了した状態です。全体の3割ほどといったところでしょうか。まだ先は長いです…


とても長くなってしまいましたが、それでは今日はこのへんで…